そもそも・・・蛇腹とは
古い洋館などの天井と壁の取合いの部分(入隅)に、複雑な凹凸が帯状に伸びて・・・部屋中をぐるっと一周回っていたり
廊下などに施されたり・・・ご覧になったことありませんか?
そうです!こんなヤツなんです。
蛇腹には『現場引き』と『置き引き』と2つの工法があります。
『置き引き』とは作業がし易い平坦な場所で、蛇腹を作成し硬化してから
現場で取り付けるという工法です。
『現場引き』とは、そのままなのですが・・・現場に材料を持ち込んで
直接塗り付けてから、仕上げてい工法になります。
今回はもちろん『現場引き』の工法になります。
とっても高い技術と手間が掛かる作業なんです。
前述した通りに『置き引き』の工法は、平坦な場所で予め蛇腹を作ることが出来ますが
『現場引き』はそうはいきません。
まずは、入隅に対して斜めの角度にボードをカットして、GLボンドで貼り付け・・・蛇腹用の壁を
起こしていきます。
更に、石膏で上から覆うように塗り付けます。これで『地』がガッチリできたわけです!
更に更に!『砂漆喰』で『地』を盛り付けていき、実際の蛇腹の作業時に一度にたくさんの
材料を付けなくて済むように準備をします。
この段階でも、『蛇腹引き』の施工がどれだけ手間が掛かっているかわかりますよね!?
でも、これはまだ『下地』の段階。
これから、下塗り・上塗りの段取りの作業を行わなければならないのです・・・。
ここからが大変なんです!
先の作業後、天井側と壁側に『走り定木』をビスで留めていきます。
『走り定木』とは、左官には欠かせない道具?材料の1つで、角測りやモルタル等を平坦に
ならす時に使用するなど、真っすぐに『通り』がある木材なんです。
蛇腹引きに使用する際には、あらかじめ写真の様に設置することで、『引き型』のレールの
役割を担っております!なんじゃそれ?って感じですよね?
まぁ、続きを読んでやってください。
これが『引き型』なんです。
ステンレスの板を『型折』と呼ばれるハサミのような道具を使い、写真のような『型』を
作ります。この『引き型』の上下部分と壁に固定した『走り定木』とをスライドさせて
蛇腹を引いていくわけなんですよ。
下塗りから引いていきます!
下塗りは『砂漆喰』です。一度に材料を付けてしまうと、蛇腹はきれいに『引け』ないそうなので
少しずつ付けては引いて・・・を繰り返して、綺麗な『蛇腹』を引いて行きます。
これだけでも雰囲気はつかめますよね!
体が半分しか映っておりませんが・・・京都の職人『山本忠和』さんが作業をしてくださっています。
とっても繊細で根気のいる作業ですね。
材料の量を微妙に調整しながら・・・。
かといって、あまり触りすぎるのもダメなんです!水分が下地に回って剥離する
可能性があるそうです。出来るだけ少ない回数で引いて、型を決めていかなくては
ならないです。
これが下塗りの完成状態です。
どうですか?この出隅と入隅は全て『手作業』ですよ!
途中は『引き型』で引いていけるのですが、角(隅)はそういうわけにはいきません!
勿論、砂漆喰ですので・・・この色ですが、上塗りの漆喰できれいな白の蛇腹ができますよ!
最終工程です!
次はお待ちかねの上塗りです!天井が四角の場合、入隅が4か所のみなのですが・・・・。
このMohalaは基礎の柱などがあったので、出隅もあり・・・とても大変なんです!
急に登場!わが『奥野左官』親方!
とっても真剣な表情で作業を進めていきます(笑)
下塗りの『砂漆喰』とは違い漆喰は肌理(きめ)が細かいので、まったく違雰囲気になります。
この出隅と入隅の手作業が本当に難しく・・・大変だそうです。
しかし、さすが京都の山本忠和さん!高い技術で難なく仕上げてしまったんです!
急にモノクロですみません・・・(笑)
親方と山梨から応援に来て頂いていた、渡辺学さん!
二人ともとても器用で、初めて?の施工ににも関わらず、とてもきれいに隅を仕上げていきます!
遂に完成!!
どうですか??この美しいライン!何度も申し上げますが・・・手作業なんです。
この走り定木を外してみると・・・
この存在感です。
最近は既成物(木材等)の廻り縁や蛇腹風のものもありますが・・・本物は違いますよ!
なかなか表現が難しいのですが。迫力があるのですが圧迫感はなく、洋風なテイストが
とっても高級があます。
もちろん和風テイストでも!(和室はダメですよ(笑))あらゆるテイストにマッチングできると思います!
左官の施工の中でも高価なものはなりますが、既製品にはない人のぬくもりを感じることが出来る
『おうちづくり』を奥野左官はお手伝いさせて頂きたいとい考えております。
施工先
kidsroom Mohala
http://mohala.jp
078-384-5084